2020年3月1日日曜日

トイレットペーパー。供給量が減らなくても供給不足は起こりうる。

東京都内ではどこに行っても今トイレットペーパーは買えない。

イオンモール成田のトイレットペーパー売り場 2020/03/01


テレビなどでは「コロナウイルスの影響でネットで生じたデマだと」言われているが、実際に売られていないのが現実だ。

これをデマというだけで片付けるのは無責任すぎる。

買い占めなどが発生しなくてもこの手の物は供給不足が生じ得るのだ。

オイルショックのときのような供給不安が生じているわけではないけれど、供給不足が生じているのは現実だ。

(写真ACより)


都市部でトイレットペーパーの買い占めなどできない

東京都内のドラッグストアというのは、車で乗り付けで大量に物は帰るようなところではなく、電車で移動する人が客層なのだから、歩いて持てる分しか買えないのだ。
トイレットペーパーのパックなどというのは、一人について1つ、多くても2つ買うのがせいぜいなのだよ。買い占め何か起こっていないのだ、東京では。

それでも東京都内のドラッグストアにはトイレットペーパーは売られていない。ほとんど品切れなのだ。

なぜトイレットペーパーが売り切れるのか。

簡単なモデルで考えてみる

トイレットペーパーなんて、普通なら月に1回ぐらい1パック買えば十分だろう。

30日に1回、買いたい気持ちが発生するとすれば、街の中に買いたい気持ちを持っている人は30人に1人ということだ。

これを簡単にモデル化すれば、1000人お客さんがいれば約30人がトイレットペーパーを買うということが成り立つ。
すなわちこのモデルでは1日につきトイレットペーパーは30個売れるということになる。

お店の在庫を3日分としよう。お店には店頭と在庫を含めて90個のトイレットペーパーがあるということになる。

何かのきっかけで、 「トイレットペーパーを買っておこう」と思う人が10%になったとする。仮にほんの1割の人が「なくなったら嫌だから2つぐらい買っておこう」と思ったりすれば、1000人のうちの1割、すなわち100人の人が2個トイレットペーパーを買いたいと思うことになる。この瞬間に、 このお店の1日のトイレットペーパーの需要は200個になるわけだ。

このお店には在庫を含めて90個のトイレットペーパーしかない。すると200の需要を満たせなくなり売り切れが発生する。
これで売り切れという事実は発生してしまうのだ。

このように供給量(すなわち生産量)が全く変わらなくても、供給不足は発生する
(写真ACより)

売れ切れの事実が伝わると

売り切れが発生したという事実がネットで広がったとして、「なくなるなら買わなきゃいけない」というマインドがさらに発生する。
うえのモデルでは、まだ買っていない90%の人のいくらはそう思うだろう。
そうしてさらに需要は増加していく。

このような状態が発生(要するに単なる品切れという事実)したとして、ネット上の情報に拡散するだけで、なんのデマの影響がなくても、供給不足は増大することができてしまうのだ。

確かに、SNSなどのネットメディアがない時代、マスメディアだけが一方的に情報を流す時代には、このようなお店の生活必需品の品切れ情報が広がることはなかっただろう。

しかし、今は、この手の情報はどんどん流れてしまうのだ。
テレビが「大丈夫とか」情報を流しても、昨日まで物があったお店から物が消えていくという「事実」を目の当たりにすると、人間の行動はどうなるのか、その行動が「買う」などという簡単の行為であれば、「あれば買っておこう」になるはずだ。

トイレットペーパーの供給は増やせるのか?

増産は難しい

需要の増大に対して、トイレットペーパーの供給を増やすことができるのだろうか。
トイレットペーパーは製紙工場で作る化学製品である。原料であるパルプを高温で溶かして紙にすく作業が必要なのだ。

高音のボイラーを使った化学工業であるから、工場は24時間稼働するのが基本である。なので、稼働時間を延長して増産するということは容易ではない。

一時の需要の増大によって、供給不足が発生した時に、これを解消するのは難しいと考えるべきだろう。
(写真ACより)

減産の可能性も考えるべき

「国内生産だから」とか「中国に原材料を依存していないから」という理由で「今後の生産も大丈夫だ」というのは無責任な言い方だ。

コロナウイルスが国内で流行しつつあるのだ。名古屋高速など従業員が出勤できなくてインターチェンジが閉鎖されているとこものあると聞く。
国内生産でも、従業員が出勤できず工場の操業停止はあり得る

ボイラーを使う工場は、一度止めてしまうと、加熱、再稼働に数日から1週間程度の期間が掛かってしまうことを考えると、今後、生産が減る要因はあっても、前述のとおり増産の可能性は少ないのだ。

「生産は減っていないから安心してください」という言葉は無責任にしか思えないのだ。

他にも供給不足の危険はある

トイレットペーパーに限らず、
  • 普段はあまり頻繁に購入されないもの
  • 生活に欠かすことができなく、使い続けるなければならないもの
  • 腐ることがないので保存可能なもの
  • 比較的安くで購入が容易なもの
という条件を満たせば、マスクやトイレットペーパー同様にいきなりあっという間に供給不足と品切れが発生する可能性はある。

マスク、トイレットペーパー、消毒剤の他にも、生理用品や紙おむつが筆頭。
病気が蔓延し始めれば、薬類、カロリーメイトのような保存用食品も可能性はある。

カットキャベツや生鮮食料品などは保存が利かないので、このようなメカニズムの供給不足(需要の急増)はないのではないかなぁ。

品切れが発生する前に、平常なうちに、適切な量のストックを確保していることが家族の安全にとっては重要なことだと思う。


マスクの供給不安ですら、未だに解消できないこの国だから。

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