今回のヨーロッパ旅行では、海外での決済手段をいつものクレジットカードから少し変えてみました。
海外旅行のときには、いつもなら基本的にクレジットカードで支払うのですが、今回は、
- ソニー銀行の「Sony Bank WALLET」
- Wiseデビットカード
- クレジットカード
の3枚を、通貨ごとに使い分けてみることにしました。
実際に手数料を計算してみると、決済する通貨によってはクレジットカードよりかなり手数料を抑えられることが分かりました。感覚だけで判断せず、数字で見るとかなりはっきり差が出たので、今回はその検証結果を旅行の実例つきで整理してみます。
※本記事の手数料・為替レートは執筆時点の情報にもとづく個人の検証・記録です。実際のレートやカード条件は変動しますので、決済手段選びの参考にしてみてください。
今回の旅行では4種類の通貨を比較することにした
今回はマイルを使ってビジネスクラスの航空券を取った関係で、かなり経由地の多い旅程になりました。
まず東京から伊丹空港へ移動し、陸路で関西空港へ。関西空港からタイ・バンコクのスワンナプーム国際空港へ飛びました。
バンコクでは乗り換え時間が20時間ほどあったので、市内へ出て1日観光。当然、ここではタイバーツ(THB)が必要になります。タイはまだ現金が必要な国ですが、バンコク市内に限ればVisaやMastercardが使える店もかなりあります。
その後、バンコクからドイツへ。ドイツを観光し、鉄道で移動してフランクフルトからスペインのバルセロナへ向かいました。ドイツ、スペイン、さらにフランスのパリと移動するので、ここではユーロ(EUR)が必要になります。
帰国便はベトナム航空。パリのシャルル・ド・ゴール空港からホーチミンへ行き、さらにハノイを経由して中部国際空港セントレアへ向かいました。
ホーチミンでも乗り継ぎ時間が長かったので、「せっかくだから市内へ出てフォーでも食べよう」ということで入国。ここではベトナムドン(VND)が必要になります。
ただ、ベトナムは想像以上に現金社会でした。
Googleマップで「クレジットカード利用可能」と表示されていたマッサージ店をわざわざ選んで行ったのですが、当日はカードが使えず現金のみ。クレジットカードが使えるつもりだったのでベトナムドンを十分に用意しておらず、交渉した結果、日本円で直接支払わせてもらいました。ちなみに、Grabでの移動にはカード決済を問題なく使えました。
というわけで、今回実際に使った通貨は、
- タイバーツ
- ユーロ
- ベトナムドン
の3種類。せっかくなので、海外旅行で使う機会の多い米ドル(USD)も一緒に比較対象に加えます。
比較する3つの決済手段を整理する
今回比較したのは次の3つです。数字で並べると、それぞれの得意・不得意がかなりくっきり分かれます。
1. Sony Bank WALLET
Sony Bank WALLETは、ソニー銀行の外貨預金と連動したVisaデビットカードです。ソニー銀行が対応している外貨なら、外貨普通預金口座から直接支払うことができます。
強いのは為替コストの安さです。今回比較する通貨だと、
- 米ドル:1ドルあたり15銭
- ユーロ:1ユーロあたり15銭
程度。仮に1ドル=158円、1ユーロ=180円とすると、15銭というコストは、
- 米ドル:約0.10%
- ユーロ:約0.08%
にすぎません。FX取引で「15銭のスプレッド」と聞くとかなり広く感じますが、海外での購入コストとして考えるとかなり安い水準です。
ただし、Sony Bank WALLETの強さが発揮されるのは、ソニー銀行が対応している外貨の場合だけです。タイバーツやベトナムドンのように外貨普通預金の対象外の通貨を使う場合は円口座から決済され、今回の条件では1.79%程度の海外事務処理経費がかかります。ここは見落としがちなので、注意しておきたいポイントです。
2. Wiseデビットカード
Wiseもデビットカードの一種ですが、特徴は通貨交換手数料が比較的安いことです。今回の比較条件では、おおむね、
- 米ドル:約0.66%
- ユーロ:約0.64%
- タイバーツ:約0.94%
- ベトナムドン:固定的な率は出しにくいものの、おおむね1%弱
くらいの感覚です。ちなみに、Wiseの手数料は通貨・金額・決済時点によって変わる変動制なので、実際にはアプリに表示される金額をその都度確認する必要があります。VNDのように保有していない通貨で決済する場合は、Wiseのミッドマーケットレート+両替手数料という仕組みになるため、「常に◯%」と言い切れないのが正直なところです。
それでも、Sony Bank WALLETが直接対応していない通貨においては、Wiseはかなり有力な選択肢になります。
3. クレジットカード
クレジットカードは便利ですが、最近は海外事務処理手数料がかなり上がっています。カードによって異なりますが、おおむね3.5~3.85%程度。今回は比較を簡単にするため、3.5%として計算します。
ただし、クレジットカードにはポイントやマイルがあります。私の場合は航空会社のマイルへ交換することを考えているので、
1%のマイル還元 × 1マイル=2円
として、実質2%のリワードがあるものとして評価しました。つまり、
3.5%の海外事務処理手数料 - 2%相当のマイル価値 = 実質1.5%程度のコスト
という計算です。もちろん「1マイルを何円と考えるか」は人それぞれです。1マイル=1円と考える人なら結果は変わりますし、特典航空券で1マイル3円以上の価値を出せる人なら、クレジットカードの評価はもっと高くなります。今回は私自身の感覚として「1マイルなら2円で買ってもいい」くらいに考えているので、2円で評価しました。
米ドル・ユーロならSony Bank WALLETが圧倒的
ここまでを手数料率で整理すると、こうなります。
| 通貨 | Sony Bank WALLET | Wise | クレジットカード実質 |
|---|---|---|---|
| 米ドル | 約0.10% | 約0.66% | 約1.50% |
| ユーロ | 約0.08% | 約0.64% | 約1.50% |
| タイバーツ | 約1.79% | 約0.94% | 約1.50% |
| ベトナムドン | 約1.79% | 約1%弱 | 約1.50% |
こうやって並べるとかなり分かりやすいです。
米ドルやユーロなど、ソニー銀行で外貨口座を持てる通貨については、Sony Bank WALLETが圧倒的に安い。特にユーロの場合、180円前後のレートに対して固定15銭ですから、コストは0.1%にも届きません。
一方、タイバーツやベトナムドンなどSony Bank WALLETの外貨預金で直接決済できない通貨では、状況が逆転します。Sony Bank WALLETでは約1.79%、マイルを2円と評価したクレジットカードが実質約1.5%、それに対してWiseなら1%弱程度。つまりこの条件なら、
タイバーツやベトナムドンではWiseの方が有利
ということになります。
結局どう使い分ける?
整理すると、私の場合はこうなりました。
米ドル・ユーロ
→ Sony Bank WALLET
タイバーツ・ベトナムドン
→ Wise
という使い分けです。クレジットカードについては、海外旅行保険の利用条件を満たすために必要な決済など、クレジットカードを使う意味がある部分だけ利用しました。単純に為替コストだけを見るなら、今回の条件ではデビットカード勢がかなり有利です。
実際の旅行でもこの通り使ってみた
今回の旅行でも、
- タイ:Wise
- ドイツ・スペイン・フランス:Sony Bank WALLET
- ベトナム:Wise
という使い分けをしました。タイではカードが使える場所がかなり多かったので、Wiseをそれなりに活用できました。
一方、ベトナムでは思った以上にカードが使えませんでした。結局、カード決済を使ったのはGrabで移動するときくらい。金額自体がそれほど大きくなかったので、「手数料を節約できた!」という実感はあまりありませんでした。
700ユーロ使ったら、どのくらい違った?
今回、ユーロ圏では現地でおよそ700ユーロをカード決済しました。ここも1ユーロ=180円で計算すると、
700ユーロ × 180円 = 12万6,000円
の利用です。
Sony Bank WALLETの場合
ユーロの為替コストを1ユーロあたり15銭とすると、700ユーロ × 0.15円 = 約105円。
クレジットカードの場合
海外事務処理手数料を3.5%とすると、12万6,000円 × 3.5% = 約4,410円。
手数料そのものを比較すると、
Sony Bank WALLET:約105円
クレジットカード:約4,410円
差は約4,300円です。700ユーロ程度の決済でも、意外と大きな差になります。
もちろん、クレジットカードにはマイルがあります。今回の前提では2%相当の価値が戻ってくると考えているので、12万6,000円 × 2% = 約2,520円相当のマイルを獲得できると評価できます。そうすると、
4,410円の手数料 - 2,520円相当のマイル = 実質約1,890円
です。それでもSony Bank WALLETの約105円と比べると、約1,790円ほどSony Bank WALLETの方が有利という計算になります。700ユーロ程度でもこれだけ違うので、家族旅行などで決済額が30万円、50万円と増えていけば、差もそれなりの金額になってきます。
海外だからといって、とりあえずクレジットカードではなくなった
これまで海外旅行では、「現金よりクレジットカードの方が為替レートも良いし便利」という感覚でほとんどクレジットカードを使っていました。これは今でも間違いではありません。
ただ、海外事務処理手数料が3%台後半まで上がってくると、話が少し変わってきます。正直に言うと、これまで「海外=クレカ一択」で全く疑っていなかった自分の判断は、少し甘かったかなと思っています。Sony Bank WALLETやWiseのようなサービスと比較すると、手数料の差はかなり大きくなりました。
今回実際に使ってみて、
ソニー銀行対応通貨ならSony Bank WALLET、それ以外ならWise
という使い分けは、なかなか合理的だと感じました。もちろん、クレジットカードには、
- ポイントやマイル
- 海外旅行保険
- ショッピング保険
- デビットカードより充実した補償
など、単純な手数料だけでは比較できないメリットがあります。そのため、どれか1枚に決めるというより、通貨や目的によって使い分けるのがよさそうです。
今回の旅行では、その使い分けを実際に試すことができました。今後の海外旅行でも、米ドルやユーロならSony Bank WALLET、タイバーツやベトナムドンなどの対象外通貨ではWiseを基本にして、必要な場面だけクレジットカードを使う形にしようと思っています。
| 海外旅行時の決済手段のまとめ |
おまけ:スワンナプーム国際空港で現金を両替するなら
最後に、今回のテーマとは少し離れますが、バンコク旅行で役に立った現金両替の話も書いておきます。
タイはカード決済がかなり普及してきたとはいえ、まだ現金が必要になる場面があります。そこで便利なのが、スワンナプーム国際空港の地下にある両替所です。
空港としては珍しく比較的レートの良い両替所があって、特にエアポート・レール・リンクの駅に近い地下エリアに並んでいる両替所は、空港内としてはかなり良いレートで両替できます。
ただし注意したいのが場所です。地下から1フロア上がって、到着ロビーなどにある一般的な空港の両替所へ行くと、レートがかなり違います。同じスワンナプーム国際空港の中でも、「どこで替えるか」でレートが全然違うということです。
実際に同じ日にスワンナプーム国際空港で両替レートを確認してみると、この差はかなり大きなものでした。
空港内の一般的な両替所では、日本円のレートが0.187/0.224。一方、地下エリアのHappy Richでは0.209/0.211となっていました。
この表示は、円・バーツ間の交換レートを示しています。
たとえば1万円をタイバーツへ交換すると、
一般的な空港両替所:10,000円 × 0.187 = 1,870バーツ
地下エリア(Happy Rich):10,000円 × 0.209 = 2,090バーツ
となり、同じ1万円でも220バーツ(1割以上)もの差が出ます。
逆にタイバーツから1万円分の日本円へ戻す場合には、
一般的な空港両替所:2,240バーツ必要
地下エリア(Happy Rich):2,110バーツ必要
となります。
つまり、同じスワンナプーム国際空港の中でも、両替する場所が少し違うだけで、受け取れる金額にはかなりの差が出ます。
「空港だからどこで替えても同じ」ではなく、地下の両替所まで少し移動するだけでレートが大きく改善することが、実際の数字からもよく分かりました。
バンコクへ行くときは、現金が必要なら、まず地下のエアポート・レール・リンク付近の両替所を確認すると覚えておくと便利だと思います。
カードはWise、必要な現金は地下で両替。今回のタイ滞在では、この組み合わせが使いやすかったです。