海外旅行の準備で、フライトやホテルと同じくらい悩むのが、現地のインターネットですよね。
| 経由した5カ国でも、ahamoは通信設定なしで繋がった。 |
レンタルWi-Fi、空港で買うプリペイドSIM、最近増えた海外用eSIM。選択肢は増えています。ただ、どれも「その国用に契約する」「SIMを差し替える」「プロファイル(回線の設定データ)やAPN(接続先の設定)を入れる」といった準備が、多少は残ります。
私は年に数回、海外へ出ます。今回はマイルでビジネスクラスの航空券を取ったので、直行便は取れず、いくつか国を経由してヨーロッパを回りました。移動が多いぶん、通信の設定で時間を取られたくありませんでした。
今回はNTTドコモの「ahamo(アハモ)」を使用しました。eSIMを別に契約せず、いつもの回線のまま使いました。
結論から言うと、国をまたぐ旅行では、ahamoのほうが楽天モバイルや現地SIMより楽でした。この記事では、5カ国を回った旅程をもとに、ahamoを海外旅行で使用した感想、月額約3,000円の見え方を整理します。
※料金・容量・海外ローミングの条件は、執筆時点の確認と、私自身の利用記録です。プランは変わることがあるので、申し込み前にahamoの公式案内も確認してみてください。
1. 5カ国を経由しても、設定はローミングをオンにするだけ
今回の旅程:5カ国を経由した
目的地のヨーロッパまでアジアを経由し、ヨーロッパ内を移動して、帰りも別のアジアの国を経由して帰国する、という旅程でした。
具体的な国を跨ぐ移動ルートは次のとおりです。
| 今回の旅程(ちょっと経路が違いますが・・・AI作図の限界) |
- タイ(バンコク): 関西国際空港を出て、バンコクで1日乗り継ぎ滞在。
- ドイツ(ミュンヘン〜フランクフルト): バンコクからミュンヘンへ飛び、列車でフランクフルトへ移動しながら1日観光。
- スペイン(バルセロナ): フランクフルトからルフトハンザ航空でバルセロナへ行き、数日滞在。
- フランス(パリ): バルセロナからエールフランス航空でパリへ移動し、街を歩いた。
- ベトナム(ホーチミン・ハノイ): 帰国便はベトナム航空。ホーチミンとハノイを経由して、中部国際空港(セントレア)へ帰国。
訪れた国は、タイ、ドイツ、スペイン、フランス、ベトナムの5カ国です。
現地SIMやeSIMだと、経由地のたびに手間が出る
同じ旅程を現地SIMや海外用eSIMだけで賄うと、だいたい次の作業になります。
- タイに着いたら、タイ用のeSIMを有効にする
- ヨーロッパに入ったら、「ヨーロッパ周遊eSIM」に切り替える
- ドイツ、スペイン、フランスと動くたびに、電波の掴み直しを確認する
- 帰りのベトナムは数時間の乗り継ぎなのに、ベトナム用を買うか悩む
国が変わるたびに、プロファイルの切り替えや副回線の設定が入ります。設定ミスで時間を使うこともありますよね。乗り継ぎで数時間だけ街に出るために、その国専用の通信を追加で買うのは、正直に言うとけっこう手間です。
ahamoは「ローミングON」だけで済んだ
今回、旅行中にやった操作は、最初の国際線の飛行機に乗った時にスマートフォンの「データローミング」をオンにしたことだけです。日本に帰る国際線の飛行機の中でデータローミングをオフに戻すまで、通信設定はまったく触っていません。eSIMのインストールも、プロファイルの切り替えもありませんでした。
経由地の空港で機内モードを解除したとき、列車で国境を越えたとき、スマホが現地の提携キャリアの電波を自分で掴みます。ahamoは、この5カ国では問題なく繋がりました。
ネットが一番ほしいのは、空港に着いた直後です。
- 入国審査の列で、ホテルの予約確認書(バウチャー)を開く
- 到着ロビーで、配車アプリ(UberやGrab)を呼ぶ
- 空港から市内までの電車の乗り換えや、運行状況を調べる
このタイミングで、APNの設定に付き合わなくていいのは助かりました。日本にいるときと同じように、アンテナが表示されるだけで十分です。
今回はヨーロッパやアジアの国だったので、入国審査の際にスマホはほぼ不要でした。
番外編:アメリカ入国のMPCアプリは、今回とは別の話
今回の旅程にアメリカは入っていませんが、以前アメリカ(ハワイ)に入国したときは、事情が少し違いました。せっかくなので、別の経験談として書いておきます。
アメリカに入国するとき、特にハワイのように混雑する場所では、入国審査をいかに早く済ませるかは家族の機嫌にも関わる一大事です。アメリカ入国にはMPCアプリというものを使って先に渡航情報を登録すれば、少しでも早く入国審査を受けられるのですが、そのためには飛行機が現地に着いてから入国審査場に行くまでの間にネットにつながっていなければなりません。
こんなときにeSIMをその場で設定し始めると、設定している間に列の後ろになってしまったりします。やはり、すぐにデータがつながるというのはとても強いです。
2. 楽天モバイルの2GBでは、実際に足りなくなった
以前使っていた楽天モバイル
以前の海外旅行では、楽天モバイルを使用していました。
楽天モバイルも、事前の追加申し込みなし、追加料金なしで海外ローミングが使えます。この点はahamoと同じで、海外旅行ではよく名前が出る回線です。
きつかったのは、無料で使えるのが月2GBまで、という点でした。
2GBは、メールや少しのSNSなら足りるかもしれません。Googleマップをオフライン保存するなど、通信量を削減する工夫は当時からしていました。
それでも足りませんでした。以前ハワイに行ったとき、オフライン保存とは別に、オンラインでバスの運行状況を調べたり、その場で使える便利な機能をそのまま使ったりしていました。地図や検索の機能はどんどん追加されていて、通信量は一昔前から爆増しています。結果として、工夫していたにもかかわらず2GBはすぐ使い切り、容量の追加が必要になりました。
オフラインマップでは補えないもの
旅先で実際に使う機能は、オフラインマップだけではありません。
- Googleマップのリアルタイム検索: 店の営業時間、定休日、混雑状況、直近のレビュー写真。
- 交通機関の運行情報: ヨーロッパの鉄道やバスの遅延、ホーム変更、運休。
- 翻訳アプリのカメラ機能: レストランのメニューや、街の案内標識をカメラで訳す。
- 配車アプリの位置追跡: UberやGrabなどの予約や車の位置確認。
- その場での共有: 景色や食事の写真を、家族や友人にすぐ送る。
これらは、どれも通信を使います。
楽天モバイルの頃は、「2GBを大切に使わなきゃ」という気持ちがずっとありました。気持ちだけで現在のデータ容量の爆増に耐えられるわけではありません。データ量を節約して、この便利な機能を使わないという手はありません。1週間ほど、旅先でスマホを頼りに動くと、2GBでは足りないんです。データ容量の追加は必須でした。
ahamoの30GBなら、国内と同じ感覚で足りる
いまのahamoは、月間30GBです(2024年10月から、それまでの20GBから増えています)。
この30GBは、追加料金なしで海外ローミングにもそのまま使えます。
私の普段の1ヶ月の通信量は、だいたい10GBから20GBです。旅行中も同じくらいの感覚で使っても、30GBなら十分に余裕があります。
9月上旬、ヨーロッパを10日間ほど旅行したときも、Googleマップでの調べ物やSNSで、データ容量を気にすることはありませんでした。使ったのは約6GB強です。
知っておくこと:「15日ルール」
ahamoの海外ローミングで、知っておきたい仕様が「15日ルール」です。
ahamoの海外ローミング仕様
海外で最初にデータ通信を使った日を起点に、15日を過ぎると速度が「最大128kbps」に制限されます。この制限は、月をまたいでも、日本に帰ってデータ通信するまで解除されません。
つまり、出国から帰国までが15日以内の旅行なら、30GBの高速通信をそのまま使えるということです。
観光や短い出張の多くは、1週間から2週間以内ですよね。この範囲なら、15日ルールが邪魔になることは少ないです。半月を超える滞在や留学なら、16日目以降に現地SIMや格安eSIMを足せば足ります。私自身、いまのところ15日を超える滞在はないので、そのときはまた考えます。たぶん現地SIMも買うと思います。
楽天モバイルが向いている場合
楽天モバイルの通話は、「Rakuten Link」というアプリ経由です。仕組みはIP電話(インターネット経由の電話)に近く、このアプリで電話をかけるときは、海外にいても日本国内と同じ感覚で通話できます。
アメリカにいてもどの国にいても、日本へかけるときの通話料を気にしなくて済みます。かけてくる側も、私の日本の携帯電話番号にかければ、私がたとえ海外にいても日本国内の電話に掛ける料金でそのまま繋がります。まあ時差はありますから、とんでもない時間に電話がかかってくることになりますけどね。
日本向けの発着信が多い人には、楽天モバイルのほうが向いているかなと思います。たとえば、旅行中でも国内から急ぎの連絡を受けなきゃいけない立場で、その電話代を会社が出してくれない、という場合ですね。
ただ、Rakuten Linkの通話はあまり安定しません。日本にいるときの電話も、同じように不安定なまま、という印象です。そもそも楽天モバイルは使える電波の帯域幅が狭いので、人が集まるターミナル駅ではほとんど繋がらなくなることがあります。この不便は、国内にいるときからついて回ります。
3. 月額約3,000円を、旅行の回数と一緒に見る
月額だけを見ると高く感じる
ahamoは、国内通話5分無料つきで月額2,970円(税込)のワンプランです。
月1,000円前後の格安SIMや、容量の小さいサブブランドもあります。普段あまりギガを使わない人には、毎月約3,000円は高く見えますよね。
年に何回か海外へ行くなら、月額だけを見ると判断を誤りやすいです。追加でかかるお金と、設定の手間も一緒に見てみます。
格安SIM+海外eSIMと、ahamoの比較
仮に、国内は月額1,500円前後の格安プランにして、海外へ行くたびにeSIMを買う場合を考えます。
ヨーロッパ周遊で10日間、ストレスなく使える6GB〜10GB程度のeSIMだと、1回あたり約2,500円〜3,500円の追加です。
- 年に2回海外へ行く場合:追加で約5,000円〜7,000円(月あたり約400円〜600円)
- 年に3回海外へ行く場合:追加で約7,500円〜10,500円(月あたり約600円〜900円)
年間で見ると、格安SIMとahamoの差は、月あたり数百円まで縮みます。
| 項目 | 国内格安SIM + 海外eSIM | ahamo(アハモ) |
|---|---|---|
| 国内月額料金 | 約1,000円〜1,500円 | 約2,970円(税込) |
| 海外渡航時の追加費用 | 渡航ごとに約2,500円〜3,500円 | 0円 |
| 海外で使えるデータ容量 | 買ったプラン分(3GB〜10GB程度) | 月間30GBの範囲 |
| 事前の手続き・設定 | アプリ、プロファイル、回線の切り替え | 不要(ローミングONのみ。eSIMの設定もない) |
| 国内での通信品質 | MVNO(大手回線を借りた格安回線。昼や混雑時に遅くなりやすい) | ドコモ本線品質 |
| 5分以内の国内通話 | 有料オプション、または使った分だけ | 標準で何度でも無料 |
金額に出ない手間
金額に出にくいのが、設定の手間です。
海外用eSIMだと、次のような作業が残ります。
- 出発前に、どの事業者が安くて繋がりやすいかを調べる
- eSIMのプロファイルを、手順どおりに入れる
- 着いたあと電波が来ないとき、APNや、データローミングの対象回線を確認する
- 「あと何日、何ギガか」を気にしながら使う
ahamoなら、この調べもの、eSIMの設定、回線の切り替え、残量の心配はほぼなくなります。
普段10〜20GBなら、国内だけを見ても収まる
私は日本にいる月も、通信量はだいたい10GBから20GBです。外出先の動画やテザリングを入れると、このあたりまで使う月があります。
この使い方なら、「ドコモの本線品質で、月30GB、5分通話無料、月額約3,000円」は、国内のプランとして見ても収まりがいいです。
月数百円を削るために安いプランを探し、海外のたびにSIMを手配し直すより、いまの渡航の回数ではahamoのほうが手間は少ないかなと思います。ちなみに、海外旅行をまったくしない人なら、話は別です。
4. ahamoを海外で使うときのチェックリスト
事前に見ておきたい点と、現地での操作をまとめます。
出発前
- SIMロック解除を確認する:
大手キャリアで昔買った端末は、SIMロックが外れているか確認しておきます(いま売られている端末は、基本的にSIMフリーです)。 - ahamoの契約を確認する:
海外ローミングに、特別な事前申し込みは不要です。最初から入っています。
出国時の国際線の飛行機に乗ったとき
- データローミングを「ON」にする:
- iPhone: 「設定」>「モバイル通信」>「通信のオプション」>「データローミング」をオン。
- Android: 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「SIM」>「ローミング」をオン。
- 機内モードに設定する:
飛行中安全のため、機内モードに設定しましょうね。
出国時の国際線の飛行機が現地に着陸したとき
- 機内モードを解除する:
数秒から数十秒待つと、現地の提携キャリアのアンテナが立ち、通信が始まります。eSIMのインストールや、プロファイルの切り替えは不要です。 - アメリカ入国の場合は、MPCアプリとの戦い:
アメリカに入国するとき、特にハワイから入国するときは、ここで余裕を持っていることはできません。着陸後、電波をつかんだ後、すぐにMPCアプリの入力との戦いが始まりますよ。
帰国のための飛行機に乗ったあと
- データローミングを「OFF」に戻す:
日本に戻る飛行機に乗った時にデータローミングをオフにしておけば、切り替え忘れを防げます(オンのままでも国内通信はできますが、習慣としてオフにしておくと安心です)。
まとめ:年に数回、国をまたいで行くなら手間が少ない
海外旅行に行かない人や、自宅のWi-Fiが中心で月1〜2GBしか使わない人には、ahamoは少し大きいかもしれません。
年に何回か海外へ行く、乗り継ぎや周遊が多い、という使い方なら、設定の少なさはかなり助かります。
- 複数国の乗り継ぎや周遊でも、ローミングをオンにしたまま、国境を越えたところから繋がる
- eSIMの契約も、eSIMの設定も不要
- 楽天モバイルの2GBでは実際に足りなくなった。ahamoの30GBなら、普段と同じ感覚で使える
- 追加料金は0円。レンタルWi-FiやeSIMの購入が減るので、年に数回行く人は月額約3,000円でも差が縮まる
通信の不安が減ると、着いてすぐ地図も配車も使えます。経由地の少ない時間を、設定ではなく街のほうに使えますよね。
次の旅行で、SIMの差し替えもeSIMの設定もなしに、着いた瞬間からいつもの回線で30GBの範囲を使ってみる価値はあります。15日以内の滞在なら、なおさらです。