2012年8月30日木曜日

冷蔵庫に氷で、昼間の消費電力を少なくできるか実験

2年前の息子の夏休みの理科の実験データより・・・。


夜間に冷凍室で1リットル(500mlペットボトル2本)の氷を作り、昼間に冷蔵室を冷やすことで、昼間の消費電力を減らすことができないかを実験したもの。

昼間:午前7時~午後11時
夜間:午後11時~午前7時

同じ冷蔵庫を2つ恒温槽に用意して実験すれば正確なのだろうけれど、これは、子供の夏休み実験。

1日おきに、冷凍室から冷凍室に、午前7時と午後11時に移し替え、エコワットで消費電力量を測って記録しました。


サンプル数を稼ぐため、ゴールデンウイークからの4ヶ月間の測定です。




回帰直線から、30℃で比較すると


昼間氷無しの消費電力量 1.7156kWh
昼間氷有りの消費電力量 1.6413kWh
で、差し引きから、氷があれば74.3Wh節電できます。

また、
夜間氷無しの消費電力量 0.9032kWh
夜間氷有りの消費電力量 0.9788kWh
で、夜間は冷凍室で氷を作るために75.6Whの電力が余分に必要でした。


トータルの消費電力量はほとんど変わりませんが、昼間の消費電力を少なくして、夜間にシフトすることはできました
深夜電力など夜間に安い電気が使えるなら意味があるかもしれません。


外気温が低いと、氷が溶けきらないこともあったので、その影響か氷の有無で消費電力量の差が少なくなっています。


これはペットボトルを冷蔵庫に入れただけなので、もっと効率をあげて、例えば5倍くらいの量を実用化しても、1日でシフトできる電力量は300~400Whですから、昼間と深夜の電力料金の価格差を25円/kWhとすると、節約できる電気代は1日あたり7.5円~10円。
1年間で 2700円~3600円の節約できる計算。

装置コストを5000円~10000円に抑えれば、電気料金で無理なくペイできそうですね。

冷蔵庫という製品に組み込んだ場合に、この価格差を市場の顧客に受け入れてくれるかはわかりませんけれど、、、。

あと、昼間に停電があっても、冷蔵室の温度上昇が抑えられるので、食品が腐りにくいという利点もありますね。


【追記】内容をChatGPTで検証して貰った結果は以下のとおりです。2026/08/14


はい。検証できます。結論からいうと、この記事の実験結果の方向性はかなり正しいです。ただし、そこから「5倍にすれば300~400Whシフトできる」「5,000~10,000円で装置化すればペイする」というところまで一般化するのは、かなり慎重に見る必要があります。

むしろ面白いのは、この実験は「省エネ」ではなく「冷熱の時間シフト」を実際に観測している点です。

1. まず、熱力学的には何をやっているのか

1 kgの水を凍らせるとき、0℃付近で水→氷の相変化に必要な熱量は約334 kJです。これは約92.8 Whに相当します。

つまり、1 Lの水を氷にすると、

約93 Whの「冷却能力」を蓄えた蓄熱体

になります。

さらに、冷凍庫内で例えば−18℃まで冷やされていた氷なら、0℃まで温める際にも冷熱を吸収します。したがって実際の冷熱容量はざっくり

100 Wh前後/kg

と考えてよいでしょう。

そして翌朝その氷を冷蔵室に移せば、氷が溶けることで冷蔵室から熱を奪います。

つまり、

夜:冷凍庫を使って「冷熱」を作る

昼:その冷熱を冷蔵室で使う

という熱エネルギーのタイムシフトです。

これは原理的には完全に成立しています。


2. 「昼間74.3Wh減った」はあり得るのか

ここが一番重要です。

記事の測定値は、

氷なし氷あり
昼間1.7156 kWh1.6413 kWh−74.3 Wh
夜間0.9032 kWh0.9788 kWh+75.6 Wh
1日合計2.6188 kWh2.6201 kWh+1.3 Wh

となっています。

これは非常にきれいです。

つまり、

夜間に75.6Wh増えた代わりに、昼間74.3Wh減った。

差し引き、

+1.3Wh/日

しかありません。

測定誤差などを考えれば、

「省エネにはほぼなっていないが、電力消費の時間帯を移動させた」

という結論はかなり妥当です。

ここは記事の著者の解釈を支持できます。


3. むしろ「省エネにならない」のが自然

ここも重要です。

冷凍庫で氷を作るには、単純に93~100Wh程度の熱を取り除くだけでは済みません。

冷凍機は、

電気エネルギー → 冷熱

という変換をします。

そのため、例えば冷凍庫の実効COPが1程度なら、100Whの冷熱を作るために約100Whの電力が必要になります。

一方、冷蔵室で氷を溶かして100Whの熱を吸収させれば、その分だけ冷蔵庫のコンプレッサー運転を減らせます。

したがって、

夜に100Wh使って冷熱を作り、昼に100Wh分の冷却負荷を減らす

ということになります。

原理的には電力消費量そのものは減りません。

むしろ、冷凍庫側の温度が低いので、冷熱を作る条件は冷蔵室より厳しくなります。

したがって、普通に考えれば、

少し損をしてでも時間帯を移動する装置

になります。

この意味で記事の実験結果、

夜間+75.6Wh
昼間−74.3Wh
合計+1.3Wh

は、熱力学的にもかなり納得できる数字です。


4. ただし「74.3Wh」という数字そのものは少し怪しい

ここは区別した方がいいです。

結論は妥当でも、74.3Whという精密な数字をそのまま信じてよいとは限りません。

理由は、実験が

同じ冷蔵庫を1日おきに氷あり・なしで測定し、外気温などから回帰

という方法だからです。

冷蔵庫の消費電力は外気温だけでなく、

  • ドアの開閉回数
  • 食品の量
  • 食品の温度
  • 室内温度
  • 湿度
  • コンプレッサーの運転状態
  • 自動霜取り
  • 氷の温度
  • 氷が完全に凍っていたか
  • ペットボトルの配置

などにも左右されます。

特に冷蔵庫はコンプレッサーが連続的に一定出力で動く装置ではないので、1日単位の測定は結構ノイズがあります。

したがって、

「74.3Wh節電した」

というより、

「この実験条件では、昼間の消費電力量が約74Wh少なくなる傾向が観測された」

くらいに表現するのが科学的には適切でしょう。


5. さらに面白いのが「1Lで74Wh」というところ

ここは物理的にチェックできます。

1 kgの氷が0℃で完全に溶けるだけで、

334 kJ ≒ 92.8Wh

の熱を吸収します。

もし−18℃程度の氷なら、0℃まで温まる分も加わるので、冷熱容量はおおむね100Wh程度になります。

すると記事の、

1 Lの氷 → 昼間74.3Whの電力消費減

という数字は、

約100Whの冷熱を利用して約74Whの電力消費を削減

していることになります。

これは冷蔵庫の冷却COPを考えれば、十分あり得る範囲です。

例えば実効的な冷蔵側COPを1.3程度と仮定すれば、

100Wh ÷ 1.3 ≒ 77Wh

です。

かなり数字が合います。

もちろん実際のCOPをこの実験から1.3と決めることはできませんが、74Whという結果が物理法則から大きく外れているわけではありません。


6. では「5倍なら300~400Wh」はどうか

ここは半分正しく、半分危険です。

単純比例なら、

74.3Wh × 5 ≒ 372Wh

なので、算数そのものは正しいです。

しかし、

氷1L → 74Wh

氷5L → 372Wh

と必ず比例するとは限りません。

理由は、冷凍庫の能力に限界があるからです。

5Lの水を一晩で凍らせるには、

約5 × 334 kJ
= 1,670 kJ
464Whの冷熱

を作る必要があります。

さらに−18℃まで冷却するなら500Wh程度になります。

冷凍庫のCOPを1程度とすれば、500Wh前後の追加電力を必要とする可能性があります。

しかもそれを8時間で作るなら、

500Wh ÷ 8h ≒ 63W

程度の平均追加冷凍能力が必要です。

これは家庭用冷蔵庫なら不可能な数字ではありません。

だから、

5L程度なら原理的には十分可能。

ただし実際には「一晩で完全に凍るか」が重要です。


7. そしてこの記事には一つ、かなり重要な問題があります

「装置コストを5000円~10000円に抑えれば、電気料金で無理なくペイ」

これは2012年当時なら条件次第であり得るが、実験結果からは証明できません。

記事自身が、

5倍なら300~400Wh/日
電力料金差25円/kWh
→ 7.5~10円/日

と計算しています。

数学としては正しいです。

例えば372Whなら、

0.372 × 25円 ≒ 9.3円/日

年間では、

9.3 × 365 ≒ 3,395円/年

です。

したがって、5,000円なら約1.5年、10,000円なら約3年。

「うまくいけばペイする」という試算自体は成立しています。

ただし、ここにはかなり大きな前提があります。


8. 最大の問題は「25円/kWhの価格差」

これは現在では特に注意が必要です。

記事は、

昼夜の価格差=25円/kWh

を仮定しています。

しかし、電力料金の「昼間」と「夜間」の差は契約プランによって全然違います。

さらに2012年当時の「深夜電力」と現在の時間帯別料金を同じように扱うこともできません。

現在の冷蔵庫を商品化するなら、

「氷を作るために余計に使う電力」×「夜間単価」

「昼間に削減される電力」×「昼間単価」

を分けて計算する必要があります。

つまり重要なのは、

75.6Whを夜間に使う
74.3Whを昼間に減らす

こと自体ではなく、

75.6Wh × 夜間単価 < 74.3Wh × 昼間単価

になるかどうかです。

これは完全に成立し得ます。

例えば単純化して、

夜間15円/kWh
昼間40円/kWh

なら、

夜間コスト
0.0756 × 15 ≒ 1.13円

昼間節約
0.0743 × 40 ≒ 2.97円

なので、

約1.84円/日の純利益

になります。

この場合、年間約670円。

逆に昼夜価格差が小さければ、ほとんど意味がありません。


9. 実はこれは「家庭用蓄電池」の熱版

この記事のアイデアを現代的に言い換えると、

「冷蔵庫に蓄冷池を持たせる」

という話です。

電池の場合、

夜間に充電

昼間に放電

ですが、こちらは、

夜間に氷を作る

昼間に氷を溶かす

です。

つまり、

電気を直接保存しているわけではなく、「冷熱」を保存している。

これは実際に大規模空調などで使われている考え方です。蓄熱・蓄冷によって電力需要を安い時間帯に移すこと自体は確立された技術です。

DOEも、冷蔵・冷凍機器を含めて、需要を料金の安い時間帯へシフトする「load management」の考え方を明示しています。


10. 「停電時に食品が腐りにくい」も正しい

これも基本的には正しいです。

冷蔵室に大きな氷を入れておけば、

冷蔵室内の熱容量+氷の融解潜熱

によって温度上昇を遅らせることができます。

特に水の融解潜熱は334 kJ/kgなので、1kgの氷だけでも約93Whの熱を吸収できます。

したがって、

コンプレッサーが停止しても温度上昇を抑える

という効果は確実にあります。

ただし「どれくらい時間を延ばせるか」は、冷蔵庫の断熱性能、室温、ドア開閉などによって大きく変わります。


総合評価

私ならこの記事をこう評価します。

記述評価
氷で昼間の冷蔵庫消費電力を減らせる○ 正しい
夜間の電力消費は増える○ 正しい
1Lの氷で約74Wh昼間シフト○ 十分あり得る
トータル消費電力量はほぼ変わらない○ かなり妥当
電力消費を夜間へシフトできる◎ 本質的に正しい
1L→5Lなら単純に5倍△ 実用上は要検証
300~400Wh/日のシフト△ 理論上可能だが実証不足
25円/kWh差なら年間2700~3600円○ 算数は正しい
5000~10000円でペイする△ 電気料金・装置性能次第
停電時の温度上昇抑制○ 正しい

そして一番評価できるのは、「省エネ装置」として売り込まず、「電力需要の時間シフト」と結論づけているところです。

実験結果そのものを見る限り、

エネルギー保存則に反するようなインチキ実験では全くなく、むしろかなり素直な蓄冷実験になっている

と思います。

ただし、もしこれを現在の視点で再検証するなら、2012年の記事より一段進んだ実験ができます。例えば「氷0L、1L、2L、3L、5L」をランダム化して、外気温・冷蔵室温・冷凍室温・コンプレッサー稼働時間・電力量を同時記録すれば、冷蔵庫の蓄冷による「ピークシフト可能量」と「経済価値」をかなり綺麗に定量化できます。

特に興味深いのは、この記事の 「昼間74.3Wh減/夜間75.6Wh増」 という数字から、逆にその冷蔵庫の実効的な冷却効率(COP)を推定できないかという点です。ここを熱力学的に計算すると、この記事の実験がどの程度ちゃんとしているか、もう一段深く判定できます。

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