2009年7月16日木曜日

高山病対策の携帯酸素缶について

 高山病とは、簡単に言うと、高いところで酸素が薄くなるので呼吸が困難になるからおきるもの。

 ウィキペディアを「酸素欠乏症」を調べると

酸素欠乏の症状
酸素濃度16%: 呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
酸素濃度12%: 筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
酸素濃度10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ


とあります。これは低地で大気圧が1気圧(1013hPa)の状況でのことと解釈します。
酸素欠乏症は、肺に入る酸素分圧に依存するらしいですから、酸素分圧を求めてみると

  酸素濃度  酸素分圧    高度    症状
 酸素濃度21%: 212 hPa:    0m:普通の状態です
 酸素濃度16%: 162 hPa: 2300m:呼吸脈拍増、頭痛悪心、はきけ、集中力の低下
 酸素濃度12%: 121 hPa: 4500m:筋力低下、めまい、はきけ、体温上昇
 酸素濃度10%: 101 hPa: 5800m:顔面蒼白、意識不明、嘔吐、チアノーゼ


となります。参照しやすいように症状とICAO(国際民間航空機関)の標準大気表を参考に求めた高度も並べました。

普通の人は、酸素濃度が16%くらいまで肺胞でのガス交換が可能(*1)といいます。
だとすれば、酸素濃度が16%より低いと、血液中に酸素を取り入れることができず、逆に血液中の酸素を外に出してしまうことになります。すなわち、高所順応していなければ、例えば、酸素濃度13%の空気(富士山頂程度)は13%の酸素がある空気ではなく、16%より少ない3%分だけ血液中の酸素を奪う空気だといえるのです。

 ようするに、症状と対照すれば、2300mくらいの高度で影響が出始めることがわかります。言い換えれば、この高度以上では高所順応をうまく行わないと高山病の症状が出てしまうことが有り得ますね。

  ちなみに富士山頂では平地の63%程度しか空気がありません。酸素分圧ですれば、133hPaですね。濃度16%にするための圧力差は約30hPaです。 深い呼吸1回で吸い込む空気の体積を1リットルとすると、この中に30hPaの酸素を含ませればよいことになりますか。この量は平地の1気圧の下で体積約 30mlです。市販の酸素缶では1気圧の下で10リットルの酸素が有るのですから、約333呼吸分の酸素があるということですね。
 1分に10回呼吸すると、無駄なく使用できたとしても、約30分間で市販の携帯酸素缶の酸素は無くなります富士登山での行動時間を考えると市販の携帯酸素缶では高山病対策はできないということになりますね。



 それからもう一つ、8合目(高度3000m)くらいで宿泊することについてですが、3000mは高山病が出る人は出てしまう高度ですから、症状が出てしまった場合には、前述のように、そこは血中酸素を奪う空気にされしているということになるのですから、山小屋で休めば回復するというものではなくて、長く留まれば留まるほど、血液中の酸素が奪われて症状が悪化する場合があることには注意が必要です。


*1 ウィキペディアを「酸素欠乏症」

でも、私は携帯酸素を一応持って行きます。ちなみに下の物。スペアタンクも使えて、小さいのが気に入っています。
下は、楽天のリンクです

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