弁論を開くということは、高裁の判決をひっくり返すことが多いので、受信料制度自体に違憲判決がでるのかと期待をしてしまいましたが、そうはなりませんでしたね。
違憲判断については、精神的な制約については、違憲判断となりやすく、
経済的制約については、なかなか違憲とは判断されない傾向がありますから、
受信料を集金すると制度はなかなか違憲とはならないですね。
一見、NHKが大勝利したような気がしたけれども、
「NHKは最高裁判決でウハウハ? 「そうでもない、かも」の微妙な論点」
J-CASTニュース / 2017年12月8日 20時23分
の記事を読めば、なんだNHKが大負けなのかとも思いました。
以下、この記事を引用しながら解説します。
受信契約の成立時についてはNHKの主張は認められず
NHKはこの裁判で、「(NHKから)受信設備設置者への受信契約の申込みが到達した時点、あるいは遅くとも申込みの到達時から相当期間が経過した時点」で、締結を拒んでいたとしても「受信契約が成立する」旨を主張していた。NHKは、こんなことを主張するものだから、この点については、
判決ではこの主張を「受信契約の成立には双方の意思表示の合致が必要というべきである」として認めなかった。と判示されました。
要するに、申込書を送りつけるだけでは受信契約は成立しないのだと最高裁が判断したわけです。
そして、
テレビがありながら受信契約の締結に応じない場合は、民法と民事訴訟法の規定に従い、「(NHKが)その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって受信契約が成立する」と、裁判が必要であることを示した。とされました。
これはというと、「契約をしないよ」という人に対しては、NHKが個別に裁判を起こさなければならないとダメだよ。と最高裁が判断したわけです。
これって、NHKにとっては大負けに等しいのではないかと思うのだ。
NHKは裁判に勝てない
最高裁で受信設備があれば契約を結ばなければならないと判断されたのだから、NHKが裁判を起こせばNHKが勝てるはず・・・と思うでしょうが、そうでもありません。最高裁の判決によれば、「承諾の意思表示を命ずる判決」を求める訴えをNHKが起こす必要がありますが
「・・・。審理終結の時点で受信設備がなければ、契約の主体となり得ないので意思表示が命じられることはありません」すなわち、裁判になった後でも審理集結までに受信設備(テレビとかビデオ)を処分してしまえば、NHKがこの裁判に勝つことはありません。
ということは、
- NHKが裁判を起こすのをゆっくり待って、
- その裁判で地裁では受信設備を持ったまま争って、地裁で負けるけど控訴して、
- 高裁の1回目の口頭弁論の期日まで(簡単な裁判だから、1回の弁論で審理集結しちゃう可能性大だから)に(*1)、テレビを処分してその証拠を提出(*2)すれば、
高裁で負けないということだね。
記事中にもこう書かれています。
審理終結時までに受信設備の利用を廃止されれば結局は受信契約締結という目的が達せられず、イタチごっこの可能性も有り得ることから、NHKに絶対に対抗したいという人は居ますからね。たしかに、以下のような流れになれば、
- NHKが裁判を起こす
- 高裁まで行ったら、訴えられた人がテレビを無くす。
- 高裁でNHKの請求棄却
- 訴えられた人が、またテレビを購入
- またNHKが訴えるとしても、後のテレビの購入からについての受信契約を結べと
- でも、また高裁まで行ったら、訴えられた人がテレビを無くす。
- 高裁でまたNHKの請求棄却
こんな感じで・・・・完全にいたちごっこ・・・どころか、
一度、テレビを手放して、テレビを自宅から搬出する必要があるなどの面倒はあるけれど、根性ある人は、訴訟で争えば永遠にNHKに勝ち続けることができる、NHKは永遠に勝てないということになりますね。
訴訟を起こすにはコストがかかること(そしてその費用も受信料が財源になる)訴訟費用も敗訴側(NHK)が負担することになるので、勝てないのに、果たして、NHKはどれだけ訴訟をおこすことができるのか?
やっぱNHKの大負け判決だね。
こうして考えると、「契約しない」という人には永遠にNHKは対抗できないということが最高裁で認められてしまいました。これではNHKの大負け判決といえるのではないでしょうか。このNHKというのも、そろそろ制度を抜本的に見直さないといけないのではないでしょうかねぇ。
受信契約を「強制する」という制度がいけないのだよと思う。
制度が変わらないのなら、とりあえず、無用な受信料争いがなくなるように、「NHKが見えないテレビ」を売り出せばいいんだよ。
中国の会社とかは作らないかなあ。普及させれば、日本のNHKというものがなくせるかもしれないのに。